インプラント技術はここ数年で大きな進化をとげています。様々な手術方法が開発され、より快適な治療方法として進化しています。しかし最新の治療法は高い技術を必要とするため、多くの症例を持つ医師を選ぶことが大切です。ここでは、最新のインプラント治療法をご紹介します。
少しでも患者様の負担をなくす治療法
骨が薄い人でもインプラント可能にする治療法
通常のインプラント手術ならば、歯を抜くのと変わらず1時間もかからずに終わります。
痛みもほとんど感じることはありません。
しかしながら、高度技術を必要とする手術や、手術当日噛めるようになるAll-on-4インプラントでは数時間から、半日の手術時間を要することもあります。
そのような場合、静脈内鎮静法により安心して治療を受けられる体制を整えております。
- 全身管理モニターにて常に全身をチェックを行います。
静脈鎮静法とは
腕に点滴をしながら鎮静剤を投与して、ややボーッとしたような眠くなった状態を作る方法のことです。治療中の不安や緊張を軽減させる方法の一つで、全身疾患をお持ちの方や緊張の強い方の歯科治療においては大変有効です。治療中は、まるで半分眠ったように、うつらうつらとした状態になります。全身麻酔とは違い、意識が完全に無くなる事はありませんが、治療中の記憶が無い場合もあります。しかし、治療後にゆっくり体を休めることで、意識は次第に明瞭になってきますので心配はいりません。安全に帰宅できる状態を確認するまで、認定を受けた麻酔医が責任を持って管理させていただきます。
ただし、麻酔医の方と、麻酔薬、全身管理器材のための費用が別途かかります。
従来のインプラント治療では、インプラント埋入から3~6ヶ月の期間をおかなければ次の治療に移れませんでした。しかし「即日インプラント」ならば、手術当日にインプラント埋入から白い仮歯の装着までを行えるため、施術を行った日から審美的かつ機能的な歯を得られます。
即日インプラントの特徴
- ・メリット
- 施術を行った日から審美的かつ機能的な歯を得られます
2次オペの必要がなく、通院の回数も少なくなります
手術後、わずかな時間で歯が入り、食事が出来ます。
- ・デメリット
- 顎の骨がしっかりしている方でないと難しい。
手術代とは別途に費用がかかります。
※口腔内の状態によって適さない場合もあるので、専門医へご相談ください。
抜歯とインプラントを同日に行うので、トータルの治療期間は3~6ヶ月にまで短縮でき、骨吸収の抑制ができますので、審美性の向上にもつながります。状態によってはインプラントが骨と結合するまでの期間に仮歯を使うことも可能です。
それに、歯根の形に近くて表面のネジ山の間隔が狭い、専用(テーパー状)のインプラントが開発されたことで、骨と密着しやすくなっています。しかし、この治療は歯根周囲に感染がないなどの条件が必要となってきます。主に事故で歯を折った場合やむし歯で欠けた場合の適応法です。
抜歯即時インプラントの特徴
- ・メリット
- 手術直後から歯がない期間がまったくありません
2次オペの必要がなく、通院の回数も少なくなります
- ・デメリット
- 治療期間をかけてインプラントを行うよりも、治療後の予測が難しい。
歯の周りのダメージが大きいと難しい。
手術代とは別途に費用がかかります。
※口腔内の状態によって適さない場合もあるので、専門医へご相談ください。
従来のインプラント治療は顎の骨の正確な情報が得られなかった為に、医師が骨の状態を確認する意味で歯茎を切開・剥離していました。 無切開インプラントの場合は、CTスキャンによる3D画像で顎の骨の正確な情報が得られる為に、 切開・剥離する必要がなくなりました。また、骨の状態を目で確認しなくても、安全に手術が行えます。ただし、CTの分析結果に基づいて、サージカルガイドの製作が必要となります。(オペ代とは別料金となります)
無切開インプラントの特徴
- ・メリット
- 痛み・腫れがほとんどない
治療時間が短くなる
縫合の必要も無くなる。
- ・デメリット
- サージカルガイド製作のための費用がかかる。
GBR法とはインプラントを行うにあたり、骨の幅や高さがない時に、骨を再生させる方法です。骨が不足している部分に、膜を用いて骨を作るスペースを用意し、その中に、骨のもとになるものを詰めて骨の再生を促す治療法です。
GBR法を行うことで、今までインプラントを行うための骨が不足していた人でも、骨の量を増やし、インプラントが可能になるケースが増加しています。適切な状態で植立してこそインプラントの長期安定が望めるのです。術式としては2つの方法があります。
インプラントを植立する前に行う方法
- ・インプラントを植立する前に行う方法
- インプラントの前準備としての方法です。まず、歯肉の中に骨の再生を促す特殊な膜とカルシウムを入れます。状態によって異なりますが、4~8ヶ月間骨が成熟するのを待ちます。その後、膜を除去するとインプラントに適した骨が膜の下に再生しています。そこで初めてインプラントの植立を行います。この方法は治療期間が長くなりますが、もともと大きく骨の幅がない人などはこのGBR 法を行ってからインプラントを行う必要性があります。無理な状態でインプラントを行ったとしても長期的な安定は期待できません。
インプラントと同時に行う方法
- ・インプラントを植立する前に行う方法
- インプラントを行うには骨が少ないが(骨幅に問題があるが)、術前GBR 法をしなくても大丈夫な場合に適応します。インプラントを植立すると同時に膜を併用します。3~6ヶ月後に膜を除去し、上部構造を作成し被せます。
※口腔内の状態によって適さない場合もあるので、専門医へご相談ください。
上あごの内部には、上顎洞を呼ばれる大きな空洞が存在します。この空洞は様々な要因がきっかけとなり、拡大する傾向を持っています。歯を抜いたりすることでこの空洞が大きくなると、インプラントができないケースがあります。そこで、広がってきた上顎洞に移植骨や骨補填材、最近ではインプラント本体の一部を挿入して、上顎洞の中に骨を作る技術が開発されました。それがサイナスリフト法です。
この治療の欠点として、他の治療法と比べると成功率が低い(90%)のと、術後腫れやすいことがあります。
歯が揃っているときの上顎骨。 |
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歯がなくなると、歯槽骨の吸収が進行します。上顎の場含は、図のように上顎洞の拡大も進行する可能性もあり、歯槽骨はさらに薄くなります。 |
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歯槽骨の骨量が少なくなると、図のように必要なインプラントが埋入できなくなリます。 |
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歯槽骨の薄い部分の上顎洞底部に移植骨や骨補填材を填入します。このとき、インプラントを同時に埋入する場合と、インプラントは骨の造成が完了してから行う場合とがあります。骨があまリにも薄い場含は、インプラントの固定ができないので、後者の方法を選択します。 |
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インプラントが骨と結合されたら、アバットメントを取り付けます。 |
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最後に上部構造(歯冠部分)を取り付け、治療は完了です。 |
※口腔内の状態によって適さない場合もあるので、専門医へご相談ください。
ソケットリフト法もサイナスリフト法と同じく、上顎洞に骨を作る技術です。特殊な器具を用いて上顎洞底部を押し上げ、押し上げた部分にカルシウムを填入します。サイナスリフトとの違いは、サイナスリフトは空洞が大きい場合に行いますが、ソケットリフトは空洞が比較的小さいときに行います。インプラントを埋入する部分(歯槽頂)から押し上げるので、傷口が小さくて済みます。術後の腫れもほとんどありません。
歯を失ったことで、歯槽骨の吸収がおこり、骨が薄くなっています。 |
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専用の器具を用いて、上顎洞底部を押し上げます。 |
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押し上げた部分に骨補填材を入れます。 |
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専用器具を用いて、上顎洞底部の骨密度をたかめます。 |
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インプラント埋入のための骨の高さが十分に確保されました。 |
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インプラントを埋入することができました。 |
※口腔内の状態によって適さない場合もあるので、専門医へご相談ください。
歯槽骨の幅が薄くてインプラントを埋入することが難しい状態です。 |
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骨の頂上部に クサビのような形の特殊な器具を挿入しながら、少しずつ骨幅を広げインプラントの埋入が可能な状態にします。 |
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インプラント を埋め込むための孔を開けます。 |
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インプラント を埋め込み骨造成剤を用います。 |
抜歯すると、時間の経過とともにもともと歯のあった周りの骨の吸収が進み、痩せて薄くなってしまいます。
そうなってしまうとインプラントは困難な為、上記の治療のようなの骨再生治療を行うのですが、骨が痩せて薄くなる前に処置をしておく方が、負担が少なくてすみます。
ソケットプリザベーションとは、骨の吸収を防止する為に、抜歯の時点で人工骨などを埋入する処置です。
残せなくなった歯を丁寧に抜歯し、抜歯窩(抜歯した後の穴)を清掃します。 |
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抜歯窩に人工骨を挿入します。 |
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GBR膜(コラーゲンからできている膜)を挿入します。 |
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歯肉や仮歯で、抜歯窩を閉鎖し、骨の吸収が起こるのを防止します。 |